打ち上げさかな図鑑 (武士の鯛)
また満開予想日は、4月7日(平年よりも1日遅く、昨年より1日遅い)ということです。
ここ最近の寒の戻りが少なからず影響しているのでしょうが、桜の花が見えるのはまだまだ先のようですね。 早く満開になった桜並木の下で、お花見をしたいものです。(^^)
さて、「桜」と言えば、歌舞伎に『義経千本桜』という演目があるそうです。
平家滅亡後に、兄頼朝と不和となった源義経を軸として、生き残った平家の武将の復讐とそれに巻き込まれた人々の喜悲こもごもを描いた「時代物」の「義太夫狂言」です。
この義経千本桜の、四幕目「下市村の場」、五幕目「釣瓶鮨屋の場」に、『いがみの権太』という人物が登場します。
いがみの権太は、前半部では、ゆすりたかりで金儲けをする手のつけようが無い悪党ですが、最後には妻子を平維盛の妻子の身代わりにして、家族共々主君のために命を捨てるという役。
いがみの権太の「いがみ」は、「いがみ合う=ケンカする」というような暴力的な意味でなく、「歪み」の事で、心が歪んでいる悪者を意味しています。
昔は悪ガキの事を「権太」と呼んでいたようですが、それはこのいがみの権太に由来するのだそうですよ。
さて、徳島では磯釣りで釣られる魚に、この『権太』(ゴンタ)という名で呼ばれている魚がいます。
それがこちら☟のブダイ(武鯛)なのです。 部大の体は、堅くて大きな鱗に覆われていて、まるで強固な鎧で武装した武士のようです。
ブダイという魚は、浅い海の海底の岩礁域に生息しているために、嵐などで海が荒れた後にはこうして渚に打ち上がれられることがあるようです。
実は私が磯釣りデビューした時に、初めて釣り上げた大物がこのゴンタでした。
もちろんゴンタを釣ったのも見たのもその時が初めて。 一緒に釣行していた先輩から、この魚の名をゴンタと教わったのですが、家に帰って魚図鑑で調べたのですが、そんな名前の魚は索引に載っておらず、ブダイと知ったのは数日後となりました。
その時に釣ったゴンタは、家に持って帰ってさばいて食べたのですが、その硬い鱗に悪戦苦闘したことを憶えています。
そんな堅い鎧のようなゴンタの鱗をものともせず、ここまできれいに食べたのは誰でしょうね?
ドンビでしょうか? カラスでしょうか? それとも・・・
このイガミの名前もゴンタと同じように「いがみの権太」に由来しているのでしょうが、「ブダイ」」と「いがみの権太」が、どういう風に繋がったのでしょうね???
by taibeach | 2011-03-09 21:42 | 海の生き物